2015年に16年間プレーした浦和レッズを退団し、AuBを創業。以来、アスリートの腸内細菌の研究と「すべての人を、ベストコンディションに。」にすべく進み続ける代表の鈴木啓太。今回は、これまでメディアでも話してこなかった、 これまでの軌跡について話を伺いました。
※こちらはpart1：”ノリ”で始めた腸活事業「根拠のない自信が、確信に変わるまで」、part2：「コンプレックスに苦しんでいた」思い描いていた経営者像とのGAPに苦しんだ数年間の末に見出した、自分のスタイル の続きとなります
鈴木啓太 | AuB株式会社 代表取締役
1981年生まれ、静岡県出身。小学生よりサッカーをはじめ、中学校時代は全国制覇を成し遂げ、高校はサッカー強豪校・東海大翔洋高校へ進学。2000年に浦和レッズに加入後、日本代表でも活躍した元トップアスリート。2015年10月中にAuBを設立。2015年に現役を引退し、AuB代表取締役に就任。経営者でもあり、2児の父としても奮闘中。
— ちなみに啓太さんは、周囲の経営者からはどんな人だと言われることが多いんですか？
「真面目だね」ですね。
– まじめ？それはどういうことでしょうか？
「真面目にビジネスしてるね」という意味です。いい意味でも悪い意味でも。いい意味だと、研究開発型のベンチャーというだけで大変なことなのに、真面目に進んでてすごいですねと褒められることもあります。ただ、ほとんどが「真面目にやるのも大事だけど、もっと”上手くやる”こともも考えた方がいいよと」というニュアンスです。他の経営者にAuBのことを話せば話すほど、真面目に向き合うのは大事だけど、スケールさせるにはいろんな手段を使わないとダメだと言われます。
– 啓太さん自身はその言葉をどう捉えていますか？
真面目にやっている自信はあるので、それは言葉の通り受け止めています。ただ、自分たちが掲げる理想はもっと上なわけで、結果を出さなければ評価されないですよね。儲けることにこだわりは無いと言いましたが、社会をより良くするための価値を作ってきちんとデリバリーできていれば自然と売上という形で積み上がっていくと思います。多分、こういう考えが真面目だと言われる所以だと思いますが…。
– お客様やパートナーに対して嘘をついたり不真面目なことをして騙すよりは、真面目の方が何倍もいいと思ってしまいますが…
それは絶対そうです。ただ、例えばサッカーで言うと、全体練習後の自主練を誰よりも頑張っていても、結局試合に出れなければ評価されないわけじゃ無いですか。少なからず近くの人は努力を評価してくれるかもしれませんが、多くの人にはその姿は届きませんよね。真面目にコツコツ積み上げる姿勢は、プロフェッショナルとして見ている人たちに良い影響を与えるけれど、試合に出て活躍した方が何倍もの多くの方に感動を届けられるわけですよね。そして自分が活躍すれば、自分を支えてくれた方も報われる。ようは「頑張っているのはわかるけど、結果を出さなきゃ意味がないからね」という叱咤激励だと捉えています。
– そうした周囲の経営者達からの声に対して、悔しさは感じますか？
もちろん悔しいです。ほとんどがありがたいアドバイスや期待してくれているからこその激励なのですが、ときどき「あれはダメ」「これはダメ」「この領域は伸びないよ」「もうやめた方がいい」と否定的な言葉を受けることもあります。ここでは言葉を濁していますが、詳細は到底言えないくらいの罵詈雑言ですね（笑）そう言った言葉に対して怒りの感情が芽生えた経験もあります。
– 意外です。AuBの他のメンバーに話を聞いても、そう言った言葉をかけられている啓太さんの話を聞いたことがありませんでした。
あまり言っていないですからね（笑）それに、当然言われた瞬間は悔しさと怒りで負の感情が高まりますが、結局は怒り、妬み、僻みといった負の感情が出るということは、自分に自信がない時なんです。ちょっと時間をおいて冷静に考えると「そう思わせてしまっている自分たちの実力不足だな」って。今の自分ってそういう風にみえてるんだなと。他人にフォーカスしてもしょうがないですし、常に自責で考えて、AuBで成果を出した方がかっこいいよねと思っています。
– サッカー選手としての経験が活きているのかもしれないですね。
そうですね。サッカーも結果を出せばみんな認めてくれますよね。今だから言えますが、起業当初は「真面目だね」と言われるのが嫌だった時期もありました。でも今は「真面目にやって結果を出せたら、みんなが喜ぶはずだからもっと頑張ろう」と思えています。少なくとも、今一緒に会社を作っているメンバーは、真面目にやっているからついてきてくれたメンバーです。経営者として、そんな真面目なメンバーを勝たせてあげたいじゃないですか？一度きりの人生で、自分の作った会社に飛び込んできてくれたメンバーには感謝しかないですし、真面目なメンバーと真面目にやって勝つ。それが、僕が会社をやる意義だと思うので。
– 真面目に勝負することの難易度が上がってきている時代にも感じますが、あえて難しい壁にチャレンジしていくのも啓太さんらしいですね。
もしかしたら会社のメンバーからは「あいつまた無理難題を…」と思われているかもしれません（笑）でも、そんな自分を支えてくれているメンバーには感謝していますし、現役を引退してしばらく経った今でも僕を支えてくれる、気にかけてくれる浦和レッズサポーターの皆さんにも「啓太、真面目に頑張ってるな」と思われたい。「あいつなんか怪しいな…」と思われるくらいだったら辞めます。それくらい強い想いがあるからこそ、結果を出したいんです。ありがたいことに色んなメディアに取り上げてもらって、毎回すごくかっこいい記事に仕上げていただくので、その瞬間はいい気持ちになるのですが、届かなかったら意味がない。なんとなくいいこと言ったなとちょっとでも慢心している自分に腹が立つこともあります。
– そういう意味では、今回のインタビュー記事はこれまでに無いような内容なのでは無いでしょうか？
そうかもしれないですね。少なからず「なんだよ鈴木啓太、カッコ悪いじゃん」と思われることもたくさん話したと思います。でもこれがリアルで、AuBが成長するなら、aubプロダクトを使ってみようかなと思ってくれる人が増えるなら、僕自信はかっこ悪いと思われてもいいんです。だから今、どうやったらもっと良いプロダクトになるかであったり、どうやったら多くの人にAuBを知ってもらえるかだったり、ありとあらゆることをやっていきたい。そのために必要なことはなんでもやりたいし、協力してくれる人がいるなら、頭を下げる覚悟もできています。
– 最後に「社会をより良くしたい」をもっと具体的に教えてほしいです。
みんな何かに対して”一生懸命になりたい瞬間”ってあると思うんですよね。その時に体調が悪いせいで一生懸命になりたくてもなれない人がいる。そういう人たちを減らしたい。一生懸命にやって、結果が出ない時もあると思います。もはや、結果が出ない時の方が多いです。でも、一生懸命になった経験がある人は、その後の人生も必ずどこかでチャンスが来ます。そんな一生懸命な人が増えたら、日本ってもっと良くなると思いませんか？その土台は健康なんです。
– 啓太さん、真面目ですね。
真面目で勝つ鈴木啓太、見たいでしょう？
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