研究者の懸念していたコロナの影響が現実となった2023年
2024年がスタートしましたが、冨士川さんの中で2023年が腸ケア的にどうだったかを振り返っていただきたくて。
もちろんです。
腸ケアプロダクトを開発・販売している弊社の中の研究統括責任者という立場として、日々腸に関する歴史やアップデートに触れていると思うのですが、そんな冨士川さんが去年一年で一番印象的だったニュースはなんですか?
一番を決めるのは難しいですが、パンデミックと乳児に関する腸内細菌の多様性の論文は印象に残っていますね。
※参照:A comparison of the infant gut microbiome before versus after the start of the covid-19 pandemic
具体的にはどんな内容なんですか?
2023年8月に出た論文ですので、まだ半年ほどしか経っていないのですが「パンデミック中に生まれたこどもは、それ以前のこどもと比べて腸内細菌の多様性が低い」という内容です。米国の1歳児を対象とした研究なのですが、コロナ禍以前のこどもと比べると、腸内細菌の多様性が1/2程度だったという衝撃的な論文でした。
数字で見ると本当にインパクトがありますね。ピークは過ぎ去ったとはいえ、今もなおコロナの影響は完全に消え去っていないことを考えると、要因や対処法を知ることは全員にとって重要だと思うのですが、冨士川さん的にはどう考えていらっしゃいますか?
まず要因としては、コロナ禍は過度な殺菌習慣であったり、ソーシャルディスタンスによる他者との触れ合いが減ったことの2つが考えられます。
仕方ないこととはいえ、コロナ禍での当たり前は腸内環境にとっては悪影響だったということですね…。
そうですね。腸内細菌の多様性が低いと、病原菌が住み付きやすくなったり免疫機能に影響がありますので大きなリスクに繋がります。実は、これらはコロナが始まってから多くの研究者が懸念していたことなのですが、とうとう現実に懸念通りのデータが出てきてしまったという印象です。
今後我々はどのように対処していけばいいんですかね?最近はインフルエンザも流行ってきていますし、コロナ前の状態に戻るのは社会的に難しい気もしているのですが。
以前より殺菌に気を付けるのは仕方ないですが、より一層両親や友達と触れ合うことや、自然環境で土に触れるなど、環境中から菌を獲得する機会を作りたいところです。さらに、kids baseのようなプロバイオティクスを日々の食生活に取り入れることも非常に効果的だと思われます。
aub for kidsは、今後の社会に欠かせないピースになる
先ほどは腸ケアという広義な質問をしたのですが、AuBとしての1年を振り返るならいかがですか?プロダクトのことでも、研究としてでも。
今の話にちょうどつながりますが、aub for kidsのローンチですね。
確かにAuBとしてこども向けブランドの立ち上げはこれまでずっと準備を進めてきたことなので、大きな一歩だったことは間違い無いのですが、冨士川さんからそのことが挙がるとは思いませんでした。
成人の腸活をサポートしていると、どんなに腸活しても数値が良くならない人や、明らかに他の人と違う特徴を持つ人がいるんです。そしてそれは、こどもの頃の影響が大きいと思われます。
こどもの頃に決まったバランスの影響ですかね。
そうですね。もちろん成人してからも腸内環境の改善は可能です。ただし、こどもの頃からの腸活の影響は大人になってからも影響するんです。つまり、こどもの頃から腸活に取り組むことが、一生に渡って腸内環境を整えるためには効率的なんですよね。
効率的という表現は非常にしっくりきます。大人になっても改善は絶対できるけれど、こどもの時から基盤を整えていた方がより効率的に腸を整えることができるという感じですよね。
はい。そして先ほどのパンデミックと乳児に関する腸内細菌の多様性に関する論文でもあったとおり、コロナによって世間一般の生活習慣が変わりましたから、今後の社会ではより一層kids baseやおなかのためのスープを用いた腸ケアの重要性が高まったことからも、2023年にスタート出来て良かったと感じています。
こどもの頃の腸内環境が、身体的成長や脳の発達にも影響しているという報告もありますし、その辺りの研究結果や論文等も積極的にAuBがハブとなって世の中に発信していきたいですよね。
おっしゃる通りです。相談してくださる方の中にも「知っていればもっと前からできたのに…」という後悔をする方も多いのですが、その言葉を聞くと我々の発信力や影響力の無さをまだまだ痛感します。
プロダクトだけでなく情報発信も力を入れていきたいですね。
2024年は腸内環境の数値化の実現へ
はい、2024年はやることがたくさんあります。
2023年を振り返ってきたので、2024年についても伺いたいのですが、冨士川さんの今年の目標を教えてください。
皆さんに早く知ってもらいたい取り組みはたくさんあるのですが、言えないことも多くて…(笑)
言える範囲で大丈夫です…(笑)
それで言うと、腸内環境の数値化が1つテーマになるかと思います。
腸内環境の数値化?
具体的にはBENTREの活用と、匂いセンサーの実現です。
詳しく教えてください。これも言える範囲で(笑)
AuBはBENTREという腸内細菌検査キットの開発・販売も行なっているのですが、BENTREを通してきちんと自身の腸内環境について解説する機会を頂けた方については、非常に納得感を持って腸活に取り組んでもらえていると感じています。
顧客満足度も高いですし、そこからaubプロダクトを購入して腸活してくださる方も多いですよね。
そうなんです。自分の腸の中に腸内細菌という多様な種類の生き物が住んでいるということをまずは知ること。次に、自分の腸内細菌が人と違っていて日々変化しているということを把握すること。このプロセスを経ることで、自身の日々の食生活や生活習慣が、腸内の生き物に影響を与えているということを理解してもらいやすいんですよね。
僕も受けていますが、ネクストアクションが明確になって、腸ケアとセットで実施するとより効果的かと思います。
ただ、現状は検査するのにはある程度費用と時間がかかるのも事実です。ですので、これまでBENTREで検査してきた色々な人の事例やデータを、わかりやすい形で情報として共有することで、少しでも多くの人のお役に立てるようにできればと思っています。
良いですね。本当に知ってほしいデータがたくさんありますもんね。
はい。さらに、トイレで排便するだけでその日の腸内環境を数値化することができるトイレの匂いセンサーの研究開発を行なっています。この新しいデバイスを2024年中に世の中に実装することが目標です。
ここまで時間をかけて丁寧に準備をしてきたことが、やっと実現しそうなそんな1年になりそうでワクワクしてきましたし、早く皆様にお届けしたいですね。
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